持ち家率の上昇、持ち家世帯の増加

持ち家率の上昇

持ち家世帯は増加している。普通世帯に占める持ち家世帯の割合でみると、 1973年の58。4%から88年の61。1%に高まり、その後、 93年には59。5%に下がったが、 95年にはふたたび高まった。こうして、持ち家世帯の5年間の増加数は、 1968年から73年の間以降、高い水準で推移している。また、持ち家の建て替えが増え続けており、これによって持ち家系着工戸数の増加は著しい。

次に、持ち家率を地域別にみると、三大都市圏以外のその他の地域では、1963年の70%からわずかに低下傾向にあり。 93年には66。6%まで低下している。これに対して京浜大都市圏、京阪神大都市圏は1993年には下がったが、その後は上昇傾向にある。

全国の持ち家率の上昇は、この大都市圏の持ち家率の低い水準からの上昇によるものであることは、注目すべき点である

持ち家率上昇の要因

このように持ち家率が上昇する要因は何だろうか。最も重要なことは、持ち家を取得できる資金が確保可能だということ、いいかえれば資金的に取得可能ということである。

これが持ち家取得を可能にする前提条件である。その条件を満たしたうえで、持ち家を取得したほうが借家住まいよりも経済的に有利だという点が、借家より持ち家を選択させ、持ち家率を高めるのである。

ところで、資金的に取得可能となるためにはまず金融機関の住宅金融が増大して資金を確保することが可能とならねばならない。戦前・戦中には住宅金融はほとんどなかった。不動産査定依頼は一括査定がおすすめです。そのような状況のもとでは昭和16年の全国の市部の持ち家率は14。1%にすぎなかった(総理府統計局資料)。

それが1970年代から持ち家率が上昇したのは、住宅金融公庫の公的住宅金融、とくに民間住宅金融がこの時期から増加し、金融面から可能な条件がととのえられたからである。

一方、低利で貸付期聞が長期の住宅金融公庫の融資によって、世帯の資金調達可能額が増加し、それが住宅の価格上昇率より高かったため、世帯の資金調達可能額を住宅価格で除した値(ここでは「住宅取得能力」という)が上昇し、世帯の住宅取得の可能性が高まっていった「住宅取得能力」とは、平均的な勤労者世帯の資金調達可能額を住宅価格で除した値である。

平均的な勤労者世帯の資金調達可能額」とは、平均的な勤労者世帯が実収入の一定割合(住居費支出割合)。

不動産売却は机上査定で調べられます。

以下では一応25%としたをローン返済にあてるとして求めた資金借入可能額に、自己資金(3年以内に持ち家計画のある世帯の貯蓄額〔貯蓄動向調査による))を加えることによる方法で求められた値である。

また住宅価格は、「地価と建築費を総合して求めた100m2の住宅価格」である。これによると、「住宅取得能力」は、 1979年から82年まで、また1987年から91年までの一時的な期聞を除いて、つねに上昇してきている。この「住宅取得能力」が高まると、持ち家世帯が増えることとなる。

世帯の資金調達可能額からみた持ち家取得可能世帯

世帯の資金調達可能額と持ち家取得可能世帯の収入

このように、「住宅取得能力」が高まると持ち家世帯が増えることとなる。なぜそうなるかを、持ち家取得可能世帯は収入がいくらあればよいかという点から明らかにしてみよう。

価格・金利と持ち家需要

以上から明らかなように、持ち家需要は住宅価格が低下すれば持ち家取得可能価格Pが低下して需要が増大する。また、金利が低下すれば同時に持ち家需要がふえる。このことは、持ち家需要は需要を横軸、住宅価格を縦軸にとってグラフに示すと、原点に凸な曲線となり、また、その需要曲線は金利の低下で右方にシフトすることがわかる。

住宅取得能力による持ち家需要の計測

住宅価格が上方へシフトすれば、持ち家取得可能世帯の収入下限が上昇し、それだけ持ち家取得可能世帯が減少し、逆に、住宅価格が上昇しないで資金調達可能額が増えれば持ち家取得可能世帯の収入下限が低下して、持ち家取得可能世帯が増加する。

そこで、平均収入世帯の収入の変化、住宅金融公庫の貸付条件の変化によって変わる資金調達可能額、それと現実の住宅価格(ここでは平均をとる)との講離の度合いの変化で、持ち家取得の可能性、ひいては住宅取得可能世帯の増減の指標とすることができょう。

そして、その靖離の度合いを、平均収入世帯の資金調達可能額の住宅価格に対する比率や資金調達可能額を住宅価格で除した平均収入世帯の実質資金調達可能額で表わし、これを「住宅取得能力」と名づける。この住宅取得能力の変化で持ち家需要の変化をみることができる。

その変化はまた、地価、住宅価格も変動させるので、持ち家需要の循環的変動をもたらす。すなわち、住宅取得能力の高まりによって、持ち家需要が増加するが、それは地価の上昇を招き、それが次の時点では住宅取得能力を低下させ、持ち家需要を減少させる。

そして、持ち家需要の減少は、やがて地価、住宅価格を低下させ、それがふたたび住宅取得能力を高め、持ち家需要を増大させるという循環変動型の変動パターンをもたらすからである。後述のように、東京圏の新築マンションの住宅取得能力(マンション価格を平均収入世帯の資金調達可能額で除した値)の動きとマンション販売率、住宅価格の動きをみると、この住宅取得能力が高まると、販売率(1年後)も高まっている。

所得上昇、キャピタルゲイン期待による住宅取得能力の増加

一定と仮定していたローン返済割合は、所得上昇の期待やキャピタルゲインの増加の期待で高まる。

そして、ローン返済の割合の高まりは、資金調達可能額を増加させ、住宅取得能力を高め、それが持ち家需要を増大させることになる。

世帯の所得の伸び率が高まると、平均消費性向の低下→資金余力の増加→ローン返済額の増加となって、ローン返済割合が高まる。逆に所得の伸び率が低下するとローン返済の割合が低下する関係がある(伊豆宏『新しい住宅経済』ぎょうせい、 1988年)。

また、ある世帯が、今後の所得の伸び率が高くなると考える場合には(期待所得が高い場合)、当初の1~2 年のローン返済割合が高くても、その後所得がふえ、ローンの返済割合は低下する。そこで、所得の伸び率が今後高いと考える場合には(期待所得が高い場合)、初めのローンの借入額をやや無理をしても多く借りる。逆に所得の伸び率が低いと考える場合には、ローンの借入額をできるだけ減らす。このようにローン返済割合は、今後の期待所得によって異なってくる。そしてこの期待所得の伸ぴ率は、今後の所得の伸び率に影響されるから、結局、現実に所得の伸び率が低いとローン返済割合が低下することになる。

住宅金融公庫の「マンション購入資金利用者調査報告」から、東京圏のマンション購入者の各年のローン返済割合を求め、これを1年前の世帯の収入伸び率(家計調査、京浜地区の収入)と対応させると、世帯収入の伸び率が高いほど、ローン返済割合が高くなっていることをみることができる。またキャピタルゲイン期待によりローン返済割合が高まることは、消費者選択理論を発展させた持ち家需要分析で明らかにしている。

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