東京都による高優賃の床面積基準の緩和

このような面積基準の強化は、一般論としては望ましいと考えられる。しかし、家賃の高い都市部では家賃の面で不都合になる場合もある。もともと家賃の高い大都市部では、面積が広くなればそれだけ家賃が高くなり、高齢者向け住宅の普及が進まなくなる可能性がある。

例えば、東京都はこうした点で、国の制度は実態を踏まえていないとかねてから批判していた。これに対し国土交通省は凶年4月に、高優賃については最低床面積を都道府県が独自に設定できることとした。

高優賃は都道府県による計画の認定の仕組みがあり、物件の質を担保できることから、こうした措置が取られることになった。これを受け東京都は、既存の建物を改修して高優賃にする場合に限って、床面積を加平方メートル以上(浴室や台所などが共用設備の場合は18平方メートル)と、基準を5平方メートル引き下げた。

高優賃の全国平均の家賃は月額4・3万円(お平方メートル当たり)であるが、都心23区では7・5万円と、全国平均の1・7倍の水準と高い(東京都による)12m平方メートルとなれば家賃は6万円程度となり、全国平均の1・4倍に引き下げることができる。東京都は18年度中に、独自の基準に基づく物件を認定する方針である。

サービスの質向上に向けて

国土交通省はこれまで高齢者向け住宅の建設を推進し、建物の床面積や設備の基準は策定しても、そこで提供されるサービスについてはノータッチだった。サービス内容に関与しないことは、業者による創意工夫の余地を高めたが、一方で入居者がサービス内容に不満を抱いても、行政が指導してくれるわけではないという不満を生んだ。

サービス内容を規制しなかった背景には、住宅関係は国土交通省、福祉サービス関係は厚生労働省という縦割り行政の弊害があった。こうした弊害を是正するため、国土交通省と厚生労働省は、日年度以降、設備面とともに生活支援サービスなどで一定の基準を満たす住宅を登録する「サービス付き高齢者住宅制度(仮称)」を設けることを検討している。

建設する事業者に対しては、建設費などを補助していく。このように当初は、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅を確保することに重点を置いた高齢者向け住宅の整備も、物理的な基準を策定することで建物の質向上を図り、さらにはそこで提供される各種のサービスの質を向上させるという方向に進化しつつある。

ただ、今後建設される賃貸住宅についてはハード、ソフトとも整備が進んでも、そのいずれも条件の良くない従来からの物件は残ることになり、こうした物件の質をいかに向上させていくかについても、十分な対策を立てることもまた必要と思われる。

不動産